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●神聖王国ファーレーン
ファーメリア西部に位置し、風の平原を中心としてその南北に広大な国土を誇る大国です。気候は全般に穏やかで四季がはっきりしており、肥沃な国土とおおらかな国民を育んでいます。
北部にあるレントナ半島は最近になって拓かれ、ここに入植者の多いルクシャの村があります。西部は外海に面し、小さな漁村も多く見られます。一方、平原を挟んだ東部は急峻な陵風(りょうふう)山脈が南北に走っており、これを越えることは容易ではありません。南部にはチコ湿原をはじめとした湖沼地帯があり、大陸最大のスティア湖の北岸までが、ファーレーン国領となっています。
ファーレーンではルーン教が国教とされており、その国民はファーメリアでももっとも敬虔なルーン教徒です。首都であるファーレーンの傍らにはロティナ大聖堂とそこで修行する聖職者達の寄宿舎が建ち並んでいます。ルーン教徒のパラディンで構成される聖槍騎士団は強力な突撃力と死を恐れぬ戦いぶりで知られ大陸最強の騎士団の一つに数えられています。
ファーレーンの歴史は古く、始まりは定かではありません。ファレナ王家に伝わる書物では、ファーレーン初王が天空神イルヴァーンの神託を受け、草原の中央に小さな聖堂を立てたのが王家の始まりと言われています。以来、定例としてファーレーン王はロティナ大聖堂の大司教も務めています。
大戦で前国王が戦死してからは神官戦士出身で前国王の后だったリディアが女王となり統治しています。政情は安定しており、民衆は女王陛下を敬愛しています。軍旗は三本の交差した槍に太陽です。
●商人の国エルランディア
ファーメリアの南側、南洋に接する長大な海岸線を占有しているのがエルランディアです。北部の乾燥地帯を越えて砂漠の国フォルケン、東部の飛水山地の先にはドルモットと国境を接しています。西には深い森が残っており、現在開拓が進められています。また、森の奥にはニャーミアンたちの最大の集落があるとも言われています。
エルランディアは正確にいうと国ではありません。「公正で自由な通商におけるエルランディア条約に従った自治都市同盟」がその正式な名称です。しかし、誰もこんな長い言葉を覚えている者はいません。皆、この地域のことを単純に「エルランディア」と呼んでいます。
かつてはエルランディアも一つの王国でした。ですが、ファーレーン大陸のはるか南に別の大陸があることが確認されると、状況が変わりました。危険な、しかし利益の多い南洋貿易が発展すると、権力は王から金のある商人たちへと移動していきました。弱体化していた王家は五十年ほど前に実質的な権力を放棄し、現在では指導力ある商人の位置に収まっています。アイグリッドにある大交易商「アイグリッド貿易公社」がそうです。
エルランディアでは商人や職人のギルドの代表たち、市民の代表たちが「エルランディア議会」をもって地域の運営を行っています。市民の代表を選ぶ際には選挙が行われているため、完全ではないにしろファーメリアでは珍しい間接民主制と言えるでしょう。
しかし、一方で拝金主義が横行しており、権力の腐敗も問題になっています。 エルランディアの沿岸都市は、長く海賊たちの襲撃に悩まされてきた過去を持っています。そのため、エルランディアは大陸最大の水軍を抱えていることでも知られています。また、陸軍の大部分はフォルケンの傭兵たちで組織されています。
エルランディア同盟の軍旗は釣り合いの取れた天秤です。
●砂漠の国フォルケン
ファーメリア大陸の中心に位置する砂漠の国がフォルケンです。フォルケンを一言で言えば、荒くれ者たちの国です。
フォルケンはその立地から、乾燥した厳しい自然環境にも関わらず人が集まりました。大陸の中心にあって東西、南北の交通の拠点となったためです。人と物が集まれば、それを狙って野盗が現れます。はじめにここに住み着いた砂漠の民たちはみな盗賊でした。
しかし、盗賊が出れば商人は護衛を雇います。人が多く集まれば街ができます。大陸の中央であることは情報の交換も容易にしました。次第に砂漠の中心、ハダン河のほとりにできた小さな町はたくさんの冒険者たち(そして盗賊たち)の拠点として利用されるようになります。周辺の砂漠の下に、多くの古代遺跡が埋もれていることも魅力だったのでしょう。そしてこの人々の混交によって産まれた町が、現在の首都フォルケンとなります。フォルケンはその治安の悪さから「盗賊都市」の異名も持っています。
この地域が統一され、フォルケン王国が樹立したのは今から百年ほど前です。長い間分裂していた砂漠の部族をついにまとめたのは、スラーク族とサーディア族の連合でした。以来、フォルケン王国はこの両部族から交互に王を擁立することになります。ですが、水面下の部族間抗争により政情は安定していないのが現状です。
フォルケンは傭兵の国としても有名です。ある時は部族ごとに、ある時は国ごと雇われて、他の国のために戦います。もともと資源の少ないフォルケンでは、そうして国庫を潤してきたのです。
現在の王、フーシェンはサーディア族の出身であり、先の大戦で傭兵としても活躍した英雄の一人です。
●軍事国家ザイーオン
ノースメリア一帯、高地や寒冷地といった厳しい気候の地域を、ザイーオン帝国が統治しています。
西部は険しい稜風山脈、南部には人の入らぬ大森林地帯、北方は海流が早く波の高い北鯨海。そして、東部にはファーメリア最大の活火山ベルデルバがそびえて紅い流れを作っています。こういった厳しい自然条件を考えれば、ザイーオン人の気骨のある人柄も理解できるでしょう。
現在のような強力な中央集権の国家が誕生したのは今から七十年ほど前です。時の第十一代国王「賢帝」リューラスは、法制度を一新しそれまで各貴族が持っていた多くの特権を見直しました。貴族たちの領地を接収し、私軍を解散させてザイーオン王家は権力基盤を確固たるものにしました。また、産業の振興や交易の奨励を通じて国富に努めました。こうして、北方の貧しい小国はファーメリアの主要な一国として数えられるようになり、賢帝リューラスはザイーオンの国号を「帝国」へと改めました。
しかし、十五年前の大戦で最大の被害を受けたのもザイーオンです。妖魔の大群に国土は蹂躙され、多くの村や町が火を放たれました。現在でも国内には多くの妖魔が潜伏しており、ファーメリア大陸の中でも危険なモンスターの出る地域となっています。
大戦初期に連合の指揮を取っていた第十三代皇帝リューネイは、戦時中にドルモットによって暗殺されています。現在のザイーオンはその弟である第十四代皇帝リューガが統治しています。
戦後、ザイーオンは大戦の発端となったダングラム地方に軍を駐留させ続け、実質的にその統治下におきました。帝国はこのことで諸国からの非難を浴びています。しかし、その後もここで採掘される良質な資源を利用した強兵策を進めています。
ザイーオンには強力な重装歩兵部隊があることで知られています。全身を漆黒の鎧に身を包んだ重装歩兵が、槍の穂を立てて行軍する様は、「黒鋼の軍列」として恐れられています。
ザイーオンの軍旗は図案化された黒竜です。
●闇の国ドルモット
ドルモットは十五年前に大戦を引き起こし、滅んだ国です。国土でいうとファーメリアでも小さな国家でした。大陸の東の外れにあり、海岸線は切り立った崖に囲まれています。西には飛水山地が阻み、北方へも城塞都市リオームを抜ける街道のみで、外界からは隔絶された印象を与える国でした。
ドルモット近郊には古い遺跡が多数確認されており、古代魔法帝国期に関係があるのではないかといわれています。そうした経緯でか、最も古い「魔術師ギルド」が作られたのもドルモットの一都市であるルディラです。ドルモット王家もまた古い歴史を持っていたようですが、多くの資料が散逸し確かなことは分かりません。狂王イーガルンは倒され、その腹心であった宰相カロンと将軍アゼルドは共に消息が知れません。
ドルモットの南には悪名高き「妖魔の根源」といわれたダムドラの塔がそびえています。十五年前にはここから妖魔が湧いて出てきたとされています。
現在旧ドルモット領はファーレーン、エルランディア、フォルケン、ザイーオンの各国大使による評議会で運営されています。
●未開の地
人間の文明の及ばない未開の地はファーメリア大陸にも存在する。そこは不毛の地であったり、闇の眷属が跋扈していたり、開拓が困難な森林地帯であることが多い。少数の亜人達の村があることもある。
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